STORY 03

「パイプ・イン・パイプ工法」で、既設管路を
アップデート

製造事業部部長花田 敏明(左)

新潟営業所係長川口 健二(右)

新設から診断・更新・更生まで管路をトータルサポート

昭和55年(1980)の立ち上げ以来40年にわたって、水管橋の設計・製造・施工を手掛けてきた製造事業部。水のパイプラインとしての役割を果たす水管橋は、経年劣化だけでなく、外的影響による腐食や劣化も進みやすい。そうした老朽化という課題、耐震性能の調査という時代のニーズに応えるべく、新設に加え、カメラ調査・管内洗浄、さらに診断・補修・補強、および更新・更生まで、明和工業一社で完結できる管路のトータルサポートを開始した。

管路の更新・更生工法には多種多様な工法が存在するが、明和工業が新たな取り組みとして導入したのが、薄肉・波型に成型したステンレス・フレキ管を挿入するSDF工法、反転機で管内にシートを挿入し密着・硬化させるホースライニング工法やパルテムHL工法など、管路の更新・更生工法に積極的に取り組んできましたが、さらに明和工業が目指したのは、得意な工法に特化するのではなく、用途や管口径、現場条件、お客様の要望に合わせて最適な工法を提案できるよう、既設管の中に新たに製管した鋼管を挿入する「パイプ・イン・パイプ工法」を製品のバリエーションに追加した。農業用水や工業用水など1000mmを超える大口径管の更新には、コストパフォーマンス的にも有利な工法として、今後需要が見込めると判断したからだ。

「パイプ・イン・パイプ工法」のメリット

「パイプ・イン・パイプ工法」では、ベンター機で鋼板を鋼管の形状まで多目に巻込んでいったん仮止めし、現場へ運んで既設管路内に挿入。仮止めを外し拡管した後につなぎ目を溶接し、完成させる。汎用的な鋼管は口径サイズが決まっているので、既設管との間に隙間が生じることもあるが、オーダーメイドで製管すれば、既設管にフィットさせられるので無駄な隙間が生じない。「この工法には新しく工場に導入したベンダー機が活用できる」と、花田は受注のチャンスを狙っていた。

導入したその年に、北陸農政局発注の農業用水路の改修工事が発注。口径1,200㎜の埋設水路の更新に、「パイプ・イン・パイプ工法」は工法的にもコストパフォーマンス的にも優れていると判断されたのだった。施工現場は上越市、稲の収穫を待って工事を始め、雪が深くなる1月には終了というスケジュールに沿って、明和工業にとって初めての「パイプ・イン・パイプ」の製作が始まった。ただし、施工には難題がひとつ。その埋設水路は地中で大きく曲がっており、特別な対応が必要だったのである。

地中でアップダウンする水路という難題

口径1,200㎜の水路は工事区間50mの間で、河川の下を横断しており、いったん斜めに降下して水平に進み、再度上昇する。「通過検討を計算し、曲がり角度をスムースに越えられるよう、通常の半分の長さで製管。本数的には通常の2倍以上になりました」と川口。だが、問題は続く。「現場で、急遽機材の据付場所が変わり、管を入れる発信地と到達地が逆に。一部、管の設計変更が必要になりましたが、施工開始には間に合わせることができました」。初めての体験ですが、設計から製管までを一貫して行える体制がフレキシブルな対応を叶えたのだった。

上水道・下水道・農業用水・工業用水・温泉など、実に様々な「水」を運ぶ管路。それだけに管種は実に多彩だ。明和工業は、WSP(日本水道鋼管協会)、SDF技術協会やパルテム技術協会を通し、最新情報の取得と技術力の向上に努めてきた。「幅広い対応力を身に付け、発注者やコンサルタントなどのお客様のお役に立てる存在でありたい」という花田の言葉に、川口は大きくうなずいた。

大口径管や特殊管にも積極的に挑戦

大口径管は農業用水にとどまらない。今、花田が見据えているのは、水力発電所のヘッドタンクから発電用タービンへ導水する水圧鉄管だ。大口径の上、強度や耐久性が求められる特殊管である。昭和に建造された数々の水力発電所は、まさに、更新の時期を迎えている。「まずは新潟、長野、東北地方。その後は全国を対象に打って出たいと思っています」。

水管橋の新設だけでは競合する企業が多いが、カメラ調査・管内洗浄、さらに診断・補修・補強、および更新・更生工法などを始めとする、様々な工法を手掛けることで守備範囲を広げ、他社との差別化を図れる。明和工業ならではの管路更新システムを構築して、「あらゆるニーズに応え暮らしと産業を支える企業になりたい」。という花田の言葉に「この分野をもっと発展させることに挑戦したい」と、川口も意欲を語る。

※2021年4月に取材した内容です。