STORY 04

河川や建築の工事にも
適用を拡大する
「仮設管レンタル事業」

レンタル事業部部長北澤 真樹(左)

東京営業所営業矢作 和也(右)

レンタル事業の「最大」と「初」

私達の生活の安心・安全を守るために水の供給は止めることができない。だから、老朽管の入れ替え工事の期間や災害発生時にはライフラインを守るために仮設配管を用いて飲み水を確保するが、その使用は元来鋼管や塩ビ管やポリ管などのいわゆる一回使用したら次に使用できない資材が主流であった。それをリユースできるよう、お客様の声を基に業界に先駆けてレンタル事業を始めたのは平成元年(1989)。パイプには高品質であるステンレス管を採用し、その継手には施工性を各段に上げる為に自社で開発を行った『グロージョイント』を用い、豊富な配管資材をストックし、様々な現場へ供給してきました。当社のこのシステム(REPCS)を採用する事により作業効率が上がることはもちろん、産業ごみが出ず、資材管理もしやすい合理的なしくみは、全国で広く認知されるようになった。

今となってはあらゆる産業界で進むSDGsへの取り組みを背景に、REPCSへの注目は高まり、その使用の範囲が拡大している。特に、仮設配管を必要とする工事の多い首都圏においては、河川改修工事や商業施設の改修工事という新しい大きなニーズが訪れた。レンタル事業部にとって「最大」と「初」となる二つの挑戦を経験し、視野が大きく開けてきた。

300A 8条を使う「最大」プロジェクト

入社2年目の営業・矢作が担当したのは、東京都内における水門改修工事だ。江戸川の本流と支流をつなぐ水門を改修する間、川の水を逃がす為に大口径の仮設配管が必要になる。基本設計では一回使用の管を使うことになっていたのですが、当社(営業担当矢作)をご存じのお客様が、施工性と工事終了後ゴミが出ない事、そしてその結果施工工期が短縮できる事を考慮し、声が掛かった。

詳細を聞いた矢作は言葉を失った。東京都の通常の水道管工事では、50~75Aの中小口径管を使うが、今回は300Aで流量を考慮すると8条必要になる。それを約2㎞分揃え、お客様と共に配管ルートを提案するというビッグプロジェクトだったのだ。「すごいことになったと思いました。在庫はあるか、輸送はどうするか、どのように提案し、契約に結び付けるかを上司やレンタル事業部に相談しながら無我夢中で進めていきました」。そして令和2年(2020)4月受注。総額約1億円という1物件当たりの受注額は事業部における最高額であり、大型土木工事へ参入できたという手応えとともに、社員を鼓舞し、より大きな自信と誇りに繋がった。

民間発注&建築現場、ふたつの「初」をクリア

これまで多くのレンタル事業を経験してきた北澤が、ふたつの「初」を体験したのは、東京都内における商業ビル改修工事でのことだ。主流としていた老朽管布設替え工事の仮設配管については自治体の発注となり、その配管は地中(埋設)配管だが、今回は民間企業の発注で配管は建物内。

当社は別事業部である建築プラント事業部においては建物配管(新設)の経験は豊富だが、今回はその仮設配管「事業部としては発注者も工事の場所も初めてのことで、私だけでなくレンタル事業部全体が新たな気持ちで仕事に向き合いました」この工事もやはり当社をご存じであったお客様が、総合的に判断を行い当社の担当営業(府木)の提案力もあり受注に結びついた。

建築物内では配管が複雑で工事に時間がかかる一方、今回の商業施設は営業しながらの工事なので水を止めることはできない。しかもまった無しの突然の対応も必要。今回の工事を成功させたのは、建築分野における当社の経験とそのスペシャリスト(府木)がこの工事に携わり、お客様とのより緊密な連携と先読みを行った提案が実行できた結果だと北澤は実感した。

土木へも建築へも活躍の場が広がっている

本管と同じ高品質なステンレス管を工場で洗浄クリーニングしてリユースするシステムは、水道工事だけでなく、東日本大震災や豪雨災害など様々な災害現場においてライフラインの復旧に用いられてきた。「全国の自治体における認知度は高く、約80%の地域に納入実績があります」と北澤。幅広い現場を経験することで確立してきた技術やノウハウ、サービスを活用できる場はないかと、常にアンテナを張っている。

今では全国8カ所の拠点でストックを行い、その総延長は800km。
上水はもちろん、農業用水・工業用水・河川水などの分野と、商業施設や工場・プラントなどの建築の分野。当社の経験とノウハウとその資材量を活かし、矢作と北澤は、新たな「最大」と「初」を目指して行動を始めている。

※2021年4月に取材した内容です。