STORY 03

土木と建築の現場に
革命を起こした
「グロージョイント」

建築プラント事業部 課長 高橋 純(左)

執行役員 法規・認証管理部 部長 丸山 和之(右)

配管のレンタル事業の新たな目玉として

平成16年(2004)にグッドデザイン賞(中小企業庁長官賞)を受賞した「グロージョイント」。管とジョイントを一体化し、管と管を簡単に接合できるようにした革命的な製品だ。「グロージョイント」の名は社員公募により決まった名であり、「成長・進化」を意味する。その開発のスタートは、平成13年(2001)、当時の社長の「管をワンタッチでつなげられないか」の一言。社員たちはその唐突な言葉に絶句したが、実は社長には深い思惑があった。

明和工業では、仮設用配管のレンタル事業という画期的なシステムを考案し、全国から引き合いが来るほど業績を伸ばしていたのだが、追随する会社が登場。前社長は「もう一つ画期的なものを加えて、唯一無二のものにしたい」と考え、ジョイントの開発を思い立ったのだった。ワンタッチで簡単につなげられたら大幅なスピードアップがかない、仮設工事のコスト削減に貢献できる。「確かに魅力的な製品です」、丸山を中心として開発が始まった。

画期的開発の前に立ちはだかる壁

それまでの仮設配管の接合は、管と管を合わせ、パッキンを装着してからジョイントをボルトとナットで固定するもので、熟練の技術が必要であり、施工に時間がかかった。ゆえに何本もの管を接合する現場では、手間のかかる面倒な作業。ところが、考案した「グロージョイント」では、ジョイント機能と管を一体化させ、一方の管にもう一方を挿し込んで回すだけ。だれでも簡単、安全にできること、小口径では、工具を用いないので小スペースでの施工も可能に。配管システムに劇的な変化をもたらすことに間違いなかった。

だが、難題が一つ。金属加工技術には自信があったが、組み込むパッキンはこれまで扱ったことのない未知の素材。ゴムの基本構造から調べ、開発では試行錯誤を繰り返した。また、仕組みの考案だけでなく、性能・強度・耐久性・コストなどクリアすべき課題が山積み。さらに、完成後はどのように訴求して広めていくかという営業上の問題も存在していた。

これまでになかったものを認めてもらう試行錯誤

着想から約1年、新しい配管システム「グロージョイント」は完成に近づいていた。水道管工事の仮設工事用に作られたものだったが、ステンレス鋼を使用しているので強度も耐久性もあり、仮設だけではもったいない。施工に小回りが利くし、建築物にも使えるのではないか――改修工事中の医療施設で仮設配管として採用され、配管してみると、さらに「建築物の恒久的な配管として使える」という手応えも。早速、建築プラント事業部が立ち上げられ、当時の部長を中心に、高橋たちが、動き出した。

これまでにないシステムであるため、デベロッパーや大手ゼネコンは強度や耐久性についての裏付けを求めてきた。社内実験、社外の専門機関での実験を重ねてデータを取り、改善を行うことを繰り返し、納入実績を積み、東京の超高層ビルの配管設備への採用を勝ち取った。

超高層ビルや産業用プラントでの採用が増加

「グロージョイント」発売から16年が経った。水道管工事の際の仮設配管、災害時の仮設水道で使用されることはもちろん、建築プラントの分野でも飛躍的にシェアを拡大している。大口径管として作られているので、高層ビルや産業用プラントなどの大型案件を得意とする。「お陰様で、新潟の高層建築物はほとんど、東京の再開発地の高層ビルの多くに採用されています。これからは、サイズやパッキンなどのラインナップを増やして「中を通すもの」の適用範囲の拡大を狙う。」と高橋。施工性を重視する土木の現場と、耐久性を重視する建築の現場。いずれも力を発揮して、地域づくりに貢献できる製品に。「グロージョイント」を世に出した丸山と高橋は、次の可能性に向けて歩き出している。

※2019年10月に取材した内容です。