STORY 01

社会インフラを支える、
明和工業のモノづくり

代表取締役社長 関根 壮至

オリジナルにこだわり、「初」と「唯一」を発信

明和工業の開発第一号は、昭和53年発売の「明和式ガス水取器」。埋設したガス管に溜まる水を除去する製品で、改良を重ねながら今も販売しているロングセラーだ。この後、自社開発・自社製造のメーカーとしての機能を強化、毎年のように新製品や新システムを発表し、フルオーダーの水管橋生産も開始した。平成15年には、当社最大のヒットとなる画期的な配管システム「グロージョイント」の開発に成功。これを活用することで、配管のレンタルサービス事業の売り上げも増加し、防災関連商品のバリエーションも増えた。

これほど多くの独自開発ができるのは、設立以来の「他社のモノマネは一切しない。自分たちにしかできないことをやっていこう」というマインドが脈々と受け継がれているから。そして、ミクロン単位の精度を誇る精密金属加工という技術力を有しているから。その強みを存分に活かし、発展させて、水道工事分野で「画期的」「業界初」「日本で唯一」の開発を成し遂げてきたのだ。現在、特許登録数は25件、もちろん今も、これからも「初」と「唯一」を狙っての試行錯誤は続いている。

あきらめず粘りづよく発想をカタチにする

開発の過程で発想は起爆剤となる。ただしそれは、単なるヒラメキでも、天から降ってくるものでもない。工事現場からのフィードバック、災害復旧現場での被災者の方々の声、営業が集めてくる全国のお客様の要望の中に潜んでいる。それらを注意深く聞き取り、分析し、課題を抽出することから始まる。課題の核に迫り、さらに背景まで的確に把握する。そして、解決のために自ら考え、異論に耳を傾け、異分野にも目を向け、部署を越えて協力し合う中で、ようやく製品の輪郭が現れてくるのだ。そこからは、試作、実験、検証を繰り返してコツコツと粘り強く完成をめざす。

秘訣などはない。デキルまでやり続けるだけだ。難しいからこそやりがいがあり、成し遂げたときの達成感は大きい。粘り強さは明和工業の技術者に共通する特徴。生活者にとって必要不可欠なインフラである水道を支える事業をしているという自覚から生まれたDNAかもしれない。「実は、今も『水』と『安全』に関わる複数の開発案件を進行中。新たな製品を発表できる日も遠くはないでしょう」と、関根は自信をのぞかせる。

水道の未来を変えるIoTプロジェクト始動

今、水道事業は大きな転換期を迎えようとしている。全国の事業体の30%が赤字に転落、合併により合理化を進めようとしているが、点検や監視を行う人員は減らせないため、先行きは不透明。その対策として、明和工業では開発専門チームを組織し、水道のIoTプロジェクトに取り組んでいる。

たとえば、パイプラインにセンサーを配して水圧・水力のデータを集め、リアルタイムで状況を把握すれば、点検作業の削減につながる。情報機器と組み合わせれば、将来的には、新潟にいながら日本全国、いや地球規模での水道を管理することもできるだろう。また、AIを導入すれば計画的な給水や災害時のリスク予測という付加価値を付けることも可能。想定外の自然災害にも、人の目の届かない地下での事故にも対応できるだろう。「モノとテクノロジーを組み合わせた、新しい水道システムは決してSFの世界の話ではない。予想より早く実現できるのではないでしょうか」と関根は言う。新たな事業エリアが動きだしている。

若い力と柔軟な発想で不可能を可能に

水道事業の問題のもう一つの打開策として、ガスや電気と同様に民営化を進めることも有効だ。水道事業は市町村による運営が原則だが、明和工業は平成21年から民営水道事業を新潟東港地域で運営している。日本で唯一の取り組みだ。「ここで得られる経営ノウハウと、自社製品を駆使した効率的なシステムを両輪として、水道事業の受託運営という道を模索していきたい」と関根は考えている。大きく変化する社会の中で、「水があたりまえに出る」という普遍の水道の役割を守るために、発想を転換し、新たなものを創造して、不可能を可能にしていくのだ。

「それには若い力が必要です。私たちは今、新たな才能を迎える環境を整えています」。ベテランの技術×若い人の視点、あるいは金属加工×情報工学や電子工学。異分野の融合は発想を刺激し、開発を加速する。「IT分野の知識や経験はすぐに仕事に活かせるでしょう。私はここに女性エンジニアに加わってほしいと思っています。水道という生活者に寄り添うテーマですから、設計や製造だけでなく、研究・開発部門でも、女性の活躍に期待しています」。関根は明和工業の未来を担う仲間との出会いを待っている。

※2019年10月に取材した内容です。